加舎白雄 (かや しらお)
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生涯
加舎白雄は元文3年(1738年)、信濃国上田藩の江戸詰め藩士加舎忠兵衛吉亨の次男として、江戸深川の藩邸で生まれた。本名は吉春といい、通称は五郎吉、別号として昨鳥・春秋庵・白尾坊・露柱庵など多数を持つ。父と兄は上田藩士として江戸詰めが長く、白雄が初めて上田の地を踏んだのは19歳のことであった。
16歳頃に父が他界し、その頃から俳句を知ったようである。宝暦末期に宗匠の青峨門に入門し、舎来と号した。明和2年(1765年)、江戸日本橋の俳人松露庵烏明と、その師にあたる白井鳥酔に師事し、本格的に俳句の道に入った。明和4年(1767年)に初めて自藩の上田を訪れ、明和6年(1769年)には姨捨山の長楽寺に松尾芭蕉の句碑を建立している。
安永4年(1775年)、鳥酔の七回忌において松露門を破門されると、江戸を去って自身の門人を引き連れて諸国を行脚した。神奈川、群馬、三重などを巡り、新たな門人を作りながら俳諧の普及に努めた。安永9年(1780年)には江戸日本橋鉄砲町に春秋庵を開いて自立し、関東に一大勢力を築くことに成功した。
天明8年(1788年)には芭蕉百回忌句会を催し、蕉風復古者としての地位を確立した。門人は4000人を数え、俳人として名を知られた者だけでも200人以上いたという。建部巣兆、倉田葛三らの優れた門人を育成し、俳諧界に大きな影響を与えた。妻帯せず清貧孤高の生涯を送り、その生き様から「日東の李清蓮」と賞された。寛政3年(1791年)9月13日、春秋庵において54歳で没し、品川の海晏寺に葬られた。
俳句歴
白雄の俳句修行は、明和2年(1765年)に松露庵烏明に入門したことから本格化した。その後、烏明の師である白井鳥酔にも師事し、蕉風俳諧の正統を学んだ。明和6年(1769年)には姨捨山に芭蕉の句碑(面影碑)を建て、翌年その記念集『おもかげ集』を出版した。これらの成功により師烏明から独立を許され、明和8年春には上田において『田ごとのはる』を出版している。この書は戸倉地方で編集され、上田常田の井筒屋万七の彫刻によって出版されたもので、上田地方の出版物として最も古いものの一つである。
明和7年(1770年)には『おもかげ集』、翌年には『加佐里那止』を刊行し、俳諧宗匠としての地歩を固めた。しかし、その成功を妬んだ師烏明により安永5年(1776年)に破門される。破門後も白雄は蕉風俳諧を広めるために全国を巡り、多くの俳人と交流を深めた。
安永9年(1780年)に江戸日本橋に春秋庵を開いてからは、門人指導に力を注いだ。毎月通信による月並(俳句指導)を行い、毎年冬には一門の作品を収める二冊の撰集『春秋稿』を刊行した。また、『俳諧寂栞』は三宅嘯山『俳諧古選』や五升庵蝶夢『蕉門俳諧語録』に先駆けた平易な俳論として知られ、俳諧理論の発展に寄与した。
白雄の作風は、私意や技巧を捨象して平明自然を主張し、無技巧だが繊細で情のこもった句を特徴とした。代表作「ひと恋し火とぼしころを桜ちる」は、安永元年(1772年)3月に吉野山で詠んだ初案を十余年推敲して完成させた主情的な作品で、今なお高等学校の教科書に取り上げられている。この句は上田城跡公園入口に句碑として建立されている。
その他の特記事項
白雄は俳諧中興五傑および天明の六俳客の一人として、与謝蕪村、大島蓼太らとともに江戸中期の俳諧復興運動を主導した。鴫立庵の庵主も務めている。
主な編著として『田毎の春』『おもかげ集』『春秋稿』『加佐里那止』『俳諧寂栞』『文車』がある。没後の寛政10年(1798年)には追善集『くろねぎ』が刊行された。
白雄の功績は、芭蕉以後衰退期にあった俳諧を再び隆盛させたことにあり、その影響力は関東を中心に全国に及んだ。特に蕉風復古運動の推進者として、俳諧を単なる言葉遊びから芸術的な文芸へと回帰させる役割を果たした。その誕生地である江戸深川(現在の江東区白河4丁目、三好4丁目付近)は、平成19年(2007年)に江東区の文化財として登録されている。
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- はるのひを おとせでくるる すだれかな
-
春の日(一日)
はるのひ
季節: 春(三春) 分類: 時候(時間) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.26
- のどけしや むぎのはらなる たぐりぶね
-
長閑
のどか
季節: 春(三春) 分類: 時候(感覚) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.28
- ははこいし ひながきころの さしもぐさ
-
日永
ひなが
季節: 春(三春) 分類: 時候(感覚) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.159
- ゆくはるや ひなのそらなる いかのぼり
-
行春
ゆくはる
季節: 春(晩春) 分類: 時候(感覚) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.246
- がんごやの あらわになりぬ わかれじも
-
別れ霜
わかれじも
季節: 春(晩春) 分類: 天文(水) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.247
- はるいまだ たごとのゆきま ゆきまかな
-
雪間
ゆきま
季節: 春(初春) 分類: 地理(山野) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.80
- はるのつき さんしょのかわに むせてけり
-
山椒の皮
さんしょうのかわ
季節: 春(仲春) 分類: 人事(飲食) -
平凡社 俳句歳時記 春p.243
- みねいりや おもえばふかき よしのやま
-
峰入
みねいり
季節: 春(晩春) 分類: 宗教(その他) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.111
- うぐいすの けさたくしばに とまりけり
-
鶯
うぐいす
季節: 春(三春) 分類: 動物(鳥類) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.94
- すつばめの したにひをたく あまよかな
-
燕の巣
つばめのす
季節: 春(晩春) 分類: 動物(鳥類) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.201
- ふるきよの みちのくかみや かみかいこ
-
蚕
かいこ
季節: 春(晩春) 分類: 動物(昆虫等) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.235
- つみそめよ ぜんのむかいの うぐいすな
-
鶯菜
うぐいすな
季節: 春(晩春) 分類: 植物(アブラナ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.214
- うどのかや そばにげたはく やまのちご
-
独活
うど
季節: 春(仲春) 分類: 植物(セリ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.337
- うまのこの いえにかえるや うめさむし
-
梅
うめ
季節: 春(初春) 分類: 植物(バラ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.91
- ひとこいし ひともしごろを さくらちる
-
落花
らっか
季節: 春(晩春) 分類: 植物(バラ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.157
- ものがたり よみさしてみる ふじのはな
-
藤
ふじ
季節: 春(晩春) 分類: 植物(マメ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.245
- すぎなえに すぎなはえそう あらのかな
-
杉菜
すぎな
季節: 春(晩春) 分類: 植物(羊歯類) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.229
- うきくさや おいそめてより のきのあめ
-
萍生初む
うきくさおいそむ
季節: 春(仲春) 分類: 植物(総称) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.207
- わかくさや しおりにむすぶ ふるすすき
-
若草
わかくさ
季節: 春(晩春) 分類: 植物(総称) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.204
- たきびして もてなされたる ついりかな
-
入梅
にゅうばい
季節: 夏(仲夏) 分類: 時候(時間) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.302
- よのみつぎ おおかるなかに ひのみつぎ
-
氷の朔日
こおりのついたち
季節: 夏(晩夏) 分類: 人事(行事) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.402
- おたうえの さけのあわふく のかぜかな
-
御田植
おたうえ
季節: 夏(仲夏) 分類: 宗教(神道) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.318
- つつどりや きそのうらやま そばににて
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筒鳥
つつどり
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(鳥類) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.52
- たけきって かのこえとおき ゆうべかな
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蚊
か
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(昆虫等) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.347
- ありのよる つりがねそうの うつぶせに
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釣鐘草
つりがねそう
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(キク目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.369
- うつくしや えのきのはなの ちるしみず
-
榎の花
えのきのはな
季節: 夏(初夏) 分類: 植物(バラ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.268
- くるしくも あめこゆるのや なつわらび
-
夏蕨
なつわらび
季節: 夏(初夏) 分類: 植物(羊歯類) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.219
- はっさくや あさひのいろを たたえじお
-
八朔
はっさく
季節: 秋(仲秋) 分類: 時候(暦) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.42
- ゆくあきの くさにかくるる ながれかな
-
行秋
ゆくあき
季節: 秋(晩秋) 分類: 時候(感覚) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.78
- あきびより とりさしなんど とおりけり
-
秋晴
あきばれ
季節: 秋(三秋) 分類: 天文(天空) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.571
- つゆしぐれ しぐれんとすれば ひのあかき
-
露時雨
つゆしぐれ
季節: 秋(晩秋) 分類: 天文(水) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.148
- まずにおう まこもむしろや くさのいち
-
草市
くさいち
季節: 秋(初秋) 分類: 人事(行事) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.486
- おつるひに かげさえうすき かがしかな
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案山子
かかし
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(生活) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.263
- むしおくる よやひかりにたつ なるこひき
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虫送
むしおくり
季節: 秋(仲秋) 分類: 人事(行事) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 秋p.179
- とししじゅう ひぐらしのこえ みみにたつ
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蜩
ひぐらし
季節: 秋(初秋) 分類: 動物(昆虫等) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.494
- よながさや ところもかえず ちゃたてむし
-
茶立虫
ちゃたてむし
季節: 秋(初秋) 分類: 動物(昆虫等) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.533
- たちいでて ふようのしぼむ ひにあえり
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芙蓉
ふよう
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(アオイ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.502
- おとすなり かけいのくちの きりひとは
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桐一葉
きりひとは
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(シソ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.481
- このあきも われもこうよと みてすぎぬ
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吾亦紅
われもこう
季節: 秋(仲秋) 分類: 植物(バラ目) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 秋p.194
- いそやまや ぐみひろうこの そでたもと
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茱萸
ぐみ
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(バラ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.176
- あかつきや こおりをふくむ みずしろし
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氷
こおり
季節: 冬(三冬) 分類: 地理(水辺) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.585
- さとわびし かけながしたの つりばしご
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干菜
ほしな
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.697
- いちはやく もえてかいなし ほだのつた
-
榾
ほだ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.533
- あじろぎの そろわぬかげを つきよかな
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網代
あじろ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.491
- とびたつは ゆうやまどりか ゆきおろし
-
雪卸
ゆきおろし
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.100
- だるまきや さむうなりたる ひざがしら
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達磨忌
だるまき
季節: 冬(初冬) 分類: 宗教(忌日) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.156
- ふぐとじる ひとりくらうに ぜひはなし
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河豚
ふぐ
季節: 冬(三冬) 分類: 動物(魚類) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.522
- やまやきや ほのかにたてる ひとつじか
-
奈良の山焼き
ならのやまやき
季節: 新年(新年) 分類: 人事(行事) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.77
- はやしびとの ふんべつらしや だいこくまい
-
大黒廻し
だいこくまわし
季節: 新年(新年) 分類: 人事(行事) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 新年p.105