鈴木花蓑 (すずき はなみの)
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生涯
鈴木花蓑は、1881年8月15日に愛知県知多郡半田町(現在の半田市)に生まれた。本名は喜一郎である。半田の地方裁判所で書記見習いをしていた時に俳句雑誌「ホトトギス」の存在を知り投句を始めた。1909年には名古屋裁判所に移り、1915年に上京して大審院書記となった。この年に初めて「ホトトギス」で入選を果たし、1929年には「ホトトギス」の同人となった。
俳句活動においては、大阪朝日新聞などの俳壇選者を担当した。晩年には「あをさ」「百舌鳥」などの俳句雑誌を創刊したが、戦時中の紙不足に巻き込まれて廃刊を余儀なくされた。60歳を迎えて日本俳句作家協会常任理事となったが、間もなくして病に倒れた。1942年11月6日に没し、享年60であった。高浜虚子は花蓑への追悼句として「天地の間にほろと時雨かな」を詠んだ。戦後の1947年に『鈴木花蓑句集』が編まれた。
俳句歴
花蓑は高浜虚子に師事し、虚子の提唱した「客観写生」を忠実に実践した。西山泊雲とともに大正末期の「ホトトギス」沈滞期を代表する作家であり、1922年から1926年まで巻頭を取り続けたことから、この時期は「花蓑時代」と称される。着実に対象を眺め、命を写し取ることこそがその神髄であるとして、対象を凝視することで句を作った。題材を見つけるとその前に坐りつづけ2時間も3時間も動かなかったといわれる。
代表句には「大いなる春日の翼垂れてあり」「薔薇色の暈して日あり浮氷」などがある。山本健吉は「全体としては客観写生風の低俗句の羅列であるが、その中に少数の感覚の冴えた、凝視の効いた写生句が混じっている」と評し、これらの句を佳句として挙げている。同時期に活躍した俳人に池内たけし、篠原温亭、嶋田青峰などがいる。
その他の特記事項
花蓑は東大俳句会を指導し、後の水原秋桜子や高野素十らの「四S時代」を築く礎となった。虚子は客観写生を進めてゆくと主観客観を供えた作品になると語っており、花蓑の作品からは客観写生の句というよりも詩を感じさせる要素があった。特に「大いなる春日の翼垂れてあり」は、春日の夕茜の広がりを「春日の翼垂れてあり」という表現で詠み、「あり」と言い切ったことで強い詩情を与える句となっている。
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- きかぬひも ありてかねのね かすみけり
-
鐘霞む
かねかすむ
季節: 春(三春) 分類: 天文(天空) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.38
- おおしまの ふんえんこちに かきくもり
-
東風
こち
季節: 春(三春) 分類: 天文(風) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.105
- おおいなる はるひのつばさ たれてあり
-
春の日(日光)
はるのひ
季節: 春(三春) 分類: 天文(光) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.159
- どうしゅうの ひとのみつけし しんきろう
-
蜃気楼
しんきろう
季節: 春(三春) 分類: 天文(光) -
増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記p.42
- しゅんらいや こごめのはなの うすらかげ
-
春雷
しゅんらい
季節: 春(三春) 分類: 天文(光) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.46
- のをやくや たなぐもりして にさんにち
-
野焼く
のやく
季節: 春(初春) 分類: 人事(行事) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.84
- やぶたけに つなげるなわや たねだわら
-
種俵
たねだわら
季節: 春(晩春) 分類: 人事(労働) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.230
- ふうせんの はやりかしげて にげてゆく
-
風船
ふうせん
季節: 春(三春) 分類: 人事(娯楽) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.213
- かざぐるま まわりきえたる ごしきかな
-
風車
かざぐるま
季節: 春(三春) 分類: 人事(娯楽) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.211
- むぎうずら あぜをよぎりぬ いおのまえ
-
麦鶉
むぎうずら
季節: 春(晩春) 分類: 動物(鳥類) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.66
- すずめのす うきまのはしの はしげたに
-
雀の巣
すずめのす
季節: 春(晩春) 分類: 動物(鳥類) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.202
- ねこやなぎ かぜにひかりて ぎんねずみ
-
猫柳
ねこやなぎ
季節: 春(三春) 分類: 植物(キントラノオ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.87
- ぎんこんの しきはせずとも のきのうめ
-
梅
うめ
季節: 春(初春) 分類: 植物(バラ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.92
- ちくまがわ こころあてなる くわのみち
-
桑
くわ
季節: 春(晩春) 分類: 植物(バラ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.340
- まちなかの こぶしのみゆる にかいかな
-
辛夷
こぶし
季節: 春(晩春) 分類: 植物(モクレン目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.169
- ひいてゆく ながきひびきや さつきなみ
-
皐月波
さつきなみ
季節: 夏(仲夏) 分類: 地理(水辺) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 夏p.54
- ふうりんや とうきびよりの かぜあらし
-
風鈴
ふうりん
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.429
- かがみみて べつかっこうや あらいがみ
-
髪洗ふ
かみあらう
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.413
- たかむしろ たまばしりして こぼれみず
-
簟
たかむしろ
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.408
- ふんすいの いしにみなもに おつるおと
-
噴水
ふんすい
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.409
- ふきながし ひとはたみゆる じゅかいかな
-
吹流し
ふきながし
季節: 夏(初夏) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.258
- とおくゆく しちりがはまの ひがさかな
-
日傘
ひがさ
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(衣服) -
平凡社 俳句歳時記 夏p.214
- つきのよの みずのみやこの いけすぶね
-
船料理
ふなりょうり
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(飲食) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.107
- ちりとりの てにもゆうべの くものいと
-
蜘蛛
くも
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(昆虫等) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.343
- たまむしの おちていたりし ひゃっかえん
-
玉虫
たまむし
季節: 夏(晩夏) 分類: 動物(昆虫等) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.393
- こうしょくき まむきよこむき きわやかに
-
紅蜀葵
こうしょくき
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(アオイ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.469
- つきのつゆ ひかりつきえつ ばらのうえ
-
薔薇
ばら
季節: 夏(初夏) 分類: 植物(バラ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.281
- さんぷくの かどににほんの さるすべり
-
百日紅
さるすべり
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(フトモモ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.475
- あじさいの あさぎのままの つきよかな
-
紫陽花
あじさい
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(ミズキ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.298
- よいあさき つきかくれいる わかばかな
-
若葉
わかば
季節: 夏(初夏) 分類: 植物(総称) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.202
- ひとむらの とくさのみずも すみにけり
-
水澄む
みずすむ
季節: 秋(三秋) 分類: 地理(水辺) -
平凡社 俳句歳時記 秋p.142
- うきくさに しろじろうくは すてうちわ
-
秋団扇
あきうちわ
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.551
- もみむしろ いろにでそめし ゆずのあり
-
籾
もみ
季節: 秋(晩秋) 分類: 人事(生活) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.629
- はぎかって たしょうのおしみ なしとせず
-
萩刈
はぎかり
季節: 秋(晩秋) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.84
- さきゅうより かぶさってきぬ ひわのむれ
-
鶸
ひわ
季節: 秋(三秋) 分類: 動物(鳥類) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.127
- ちょうじょうや さびしきてんと しゅうえんと
-
燕帰る
つばめかえる
季節: 秋(仲秋) 分類: 動物(鳥類) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.446
- せいてんや こすもすのかげ まきちらし
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コスモス
こすもす
季節: 秋(仲秋) 分類: 植物(キク目) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.400
- おもとのみ たのしむとなく たのしめる
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萬年青の実
おもとのみ
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(キジカクシ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.180
- どんぐりの むぐらにおちて くぐるおと
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団栗
どんぐり
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(ブナ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.624
- はぜもみじ おばなのなかに えだわかれ
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櫨紅葉
はぜもみじ
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(ムクロジ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.638
- どのいえも みなしあわせや ほしぶとん
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蒲団
ふとん
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.72
- ひけまちて つまのあとより かおみせへ
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顔見世
かおみせ
季節: 冬(仲冬) 分類: 人事(芸術) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.493
- すけーとや みぎんびひだりに かげなげて
-
スケート
すけーと
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(スポーツ) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 新年p.118
- けちらして まばゆきいちょう おちばかな
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銀杏落葉
いちょうおちば
季節: 冬(初冬) 分類: 植物(イチョウ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.669
- みなんてん こうようもして まっかなり
-
南天の実
なんてんのみ
季節: 冬(三冬) 分類: 植物(キンポウゲ目) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.632
- はねひとつ おちてせんすい こおりいぬ
-
羽子
はね
季節: 新年(新年) 分類: 人事(娯楽) -
虚子編 新歳時記 増訂版p.19
- ななくさの なふだあたらし ゆきのなか
-
七種(人事)
ななくさ
季節: 新年(新年) 分類: 人事(飲食) -
平井照敏編 新歳時記 新年p.164
- はつもうで ゆきみごとなる たいこばし
-
初詣
はつもうで
季節: 新年(新年) 分類: 宗教(神道) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 新年p.30