波多野爽波 (はたの そうは)
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生涯
波多野爽波は1923年1月21日、東京府に生まれた。本名は敬栄(よしひで)。祖父は元宮内大臣の子爵・波多野敬直である。生まれた年に鎌倉の母の実家の別荘で関東大震災に遭遇し、家屋の下敷きになるが、叔父に庇われて助かった。この別荘は高浜虚子の次女・星野立子の隣家であり、爽波が助けられる場面には19歳の立子の姿もあったという。
学習院初等科、中等科、高等科文科甲類へと進学した。1939年、健康を害して鎌倉で療養中に「ホトトギス」を読みふけり、翌1940年より投句を始めた。高等科在学中は、学校で岩田九郎教授の指導のもと「木犀会」を結成してリーダーとなった。この会には2級下の平岡公威(三島由紀夫)も参加していた。また学習院の先輩である京極杞陽からも指導を受け、大きな影響を受けている。
1942年、京都帝国大学経済学部に入学し、松尾いはほの「蜻蛉会」や長谷川素逝指導の「京大ホトトギス会」に参加した。しかし1943年12月に召集を受け、1945年に見習士官として中国北部に赴いた。終戦は、迫撃砲部隊の小隊長として開聞岳の麓で迎えている。陸軍少尉であった。
1946年5月、「京大ホトトギス会」を復活させて幹事となり、俳句実作に復帰した。1947年に結婚し、京都市左京区田中春菜町に新居を構え、同年3月に大学を卒業した。6月には京大ホトトギス会の有志らと「春菜会」を結成し、これが後の「青」創刊の母体となる。三井生命保険を経て、1948年に三和銀行に入行した。1977年には藤沢薬品工業の監査役に転出し、1983年に退任している。1991年10月18日に逝去した。同年12月号をもって「青」は終刊した。
俳句歴
爽波は1940年、「ホトトギス」1月号で初入選を果たした。同年4月3日には、星野立子の主宰誌「玉藻」の例会に参加し、立子の介添えで虚子に初めて謁見している。
戦後の1946年、「京大ホトトギス会」を復活させて幹事となり、「玉藻」5月号で巻頭、10月には「ホトトギス」600号記念大会で披講の大役を務めるなど、俳句実作に一気に復帰した。1949年には最年少で「ホトトギス」同人となり、当時は野見山朱鳥、上野泰とともに若手三羽烏と呼ばれた。
1953年10月、「春菜会」をもとに俳誌「青」を創刊し、主宰となった。1957年、「かつらぎ」青年大会の来賓講演で「ホトトギス俳句は、誤解を恐れずに一言に言えば、古い」と発言し、物議をかもした。1958年には「年輪」「菜殻火」「山火」と四誌連合会を発足させて主導し、四誌連合会賞の選者に中村草田男を招聘した。1963年には三和俳句会を再興し、またこの頃から前衛と目される俳人との交流を深めた。1987年より俳壇賞の選者も務めた。
爽波は虚子の最晩年の直弟子であり、都会的な感覚で「ホトトギス」に新風を吹き込んだ。多作多捨を身上とし、「俳句スポーツ説」を提唱した。実作では徹底した写生と題詠を重視し、得意とする季語を持つようにと弟子たちにもその効用を説いていた。句集には『鋪道の花』『湯呑』『骰子』『一筆』などがあり、第一句集『鋪道の花』の序文は高浜虚子が執筆している。
その他の特記事項
父の敬三は日本銀行から日本活動写真へ転職し、陸上競技連盟設立やプロ野球・セネタース創設に関わった後、大日本映画製作の常務となったが、1945年4月に肺炎で死去した。母の辰子は星野立子と同級生であり、「ホトトギス」に投句もしていたが、1946年6月に発疹チフスで急逝した。虚子は辰子の弔句を爽波に送り、虚子庵で追悼句会を催している。
「青」に依った仲間には、宇佐美魚目、大峯あきら、吉本伊智朗、柏村貞子、友岡子郷など昭和後期から平成にかけての重要な俳人が多い。また門下には田中裕明、岸本尚毅という互いに作風の異なる同世代の作者が出ており、いずれも愛弟子として可愛がった。他の門人に島田牙城、岩田由美、森賀まり、中岡毅雄などがいる。
爽波は弟子たちに実作のための具体的な方法を説いており、「わが身を自然の中に置いて作る」「句会、吟行会に出る」「言葉は平明に、普通の言葉で」「目の前すぐのもの、足元そこにあるもの」「目線より下で作る」などの教えを残している。墓所は京都岩倉の圓通寺霊所である。
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- だいこんの はなやあおぞら いろたらず
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大根の花
だいこんのはな
季節: 春(晩春) 分類: 植物(アブラナ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.189
- あおあらし でんりゅうつよく ながれおり
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青嵐
あおあらし
季節: 夏(三夏) 分類: 天文(風) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 夏p.39
- かたかげを うばいあうごと すれちがう
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片蔭
かたかげ
季節: 夏(晩夏) 分類: 天文(光) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.52
- ゆうやけの なかにあやうく ひとのたつ
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夕焼
ゆうやけ
季節: 夏(晩夏) 分類: 天文(光) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.50
- つりぼりの よすみのみずの つかれたる
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釣堀
つりぼり
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(娯楽) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.111
- りんどうを ふかくもきたり おうとうき
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桜桃忌
おうとうき
季節: 夏(仲夏) 分類: 宗教(忌日) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.140
- さかれたる あなごのみんな めがすんで
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穴子
あなご
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(魚類) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.167
- たのはなに ならびてさくや ごまのはな
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胡麻の花
ごまのはな
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(シソ目) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 夏p.223
- じゃがいもの はなのさんかく しかく かな
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馬鈴薯の花
じゃがいものはな
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(ナス目) -
平井照敏編 新歳時記 夏p.444
- ほうきぎの つぶさにえだの わかれおり
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帚木
ほうきぎ
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(ナデシコ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.245
- うつくしや さくらんぼうも よのあめも
-
さくらんぼ
さくらんぼ
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(バラ目) -
増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記p.234
- さくにゅうの あさなゆうなを やまよそおう
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山粧ふ
やまよそう
季節: 秋(三秋) 分類: 地理(山野) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.55
- かえでより まつにしゅういや にそんいん
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秋意
しゅうい
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(生活) -
増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記p.281
- つぎなるこ はやもやどして しょうじはる
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障子貼る
しょうじはる
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.72
- たねとるや あらいざらしの ものをきて
-
種採
たねとり
季節: 秋(晩秋) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.81
- ひめいにも にたりやしょくの たべこぼし
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夜食
やしょく
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(飲食) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.235
- みのむしに うすうすめはな ありにけり
-
蓑虫
みのむし
季節: 秋(三秋) 分類: 動物(昆虫等) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.148
- はきながら むくげにひとの かくれけり
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木槿
むくげ
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(アオイ目) -
平凡社 俳句歳時記 秋p.135
- すもうぐさ あしのみじかき いぬとゆき
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力草
ちからぐさ
季節: 秋(三秋) 分類: 植物(イネ目) -
増補版 いちばんわかりやすい 俳句歳時記p.322
- いちじくを もがむとうでを ねじいるる
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無花果
いちじく
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(バラ目) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.553
- ぽすとにて さしいれとうじの ひがひくし
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冬至
とうじ
季節: 冬(仲冬) 分類: 時候(暦) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.558
- てがつめた ほおにあてれば ほおつめた
-
冷たし
つめたし
季節: 冬(三冬) 分類: 時候(感覚) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.30
- ふゆぞらや ねこへいづたい どこへもゆける
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冬の空
ふゆのそら
季節: 冬(三冬) 分類: 天文(天空) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.37
- かるるみず さらにみすじに わかれおつ
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水涸る
みずかる
季節: 冬(三冬) 分類: 地理(水辺) -
新版 角川俳句大歳時記 冬p.150
- こたつでて あるいてゆけば あらしやま
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炬燵
こたつ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.106
- すきまかぜ さまざまなもの へてきたり
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隙間風
すきまかぜ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.38
- みささぎの こずえのみゆる がじょうかく
-
賀状書く
がじょうかく
季節: 冬(仲冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.110
- かざりうり かえりしあとの ぽっかりと
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飾売
かざりうり
季節: 冬(仲冬) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 冬p.59
- はなのごとく いちょうおちばを あつめもち
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銀杏落葉
いちょうおちば
季節: 冬(初冬) 分類: 植物(イチョウ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.203
- ちゃのはなの するするとあめ ながしおり
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茶の花
ちゃのはな
季節: 冬(初冬) 分類: 植物(ツツジ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.196