秋元不死男 (あきもと ふじお)
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生涯
秋元不死男(あきもと ふじお)は1901年(明治34年)11月3日、神奈川県横浜市中区元町に生まれた。本名は不二雄。前号は東京三(ひがし きょうぞう)、別号に秋元地平線がある。漆器の輸出商の次男として生まれたが、長男は不死男が生まれた日に病没した。父は不死男が13歳の時に病没し、以後母親が和裁の賃仕事や夜店の行商をして家計を支えた。
1916年に横浜市第二日枝小学校高等科を卒業し、横浜火災海上保険会社に入社した。1920年には白樺派に傾倒し、武者小路実篤の新しき村の第二種会員となった。1929年に同僚となった嶋田的浦が、翌年に兄の島田青峰を紹介し、青峰に師事して「土上」に投句を開始した。1931年には清水阿喜と結婚している。
1934年に新興俳句運動に加わり、西東三鬼らと交流し、新興俳句系の連絡機関「新俳話会」の幹事を務めた。1940年には「土上」が終刊し、三鬼らと「天香」を創刊した。しかし1941年、治安維持法違反の名目による新興俳句弾圧事件が始まり、不死男は2月に検挙され、1943年2月に保釈されるまで獄中にあった。この検挙により職を失った。
戦後の1946年には新俳句人連盟の創立に関わったが、運営方針を巡る対立から脱退した。1947年に俳号を秋元不死男に改め、現代俳句協会の設立発起人となり、のち幹事長を務めた。1948年には山口誓子の「天狼」創刊に参加し、1949年には「氷海」を創刊して主宰した。1961年には現代俳句協会を脱退し、俳人協会設立に参加している。1971年に直腸癌の摘出手術を受け、1977年7月25日に入院先で逝去した。享年75。忌日は甘露忌と呼ばれる。劇作家の秋元松代は妹であり、息子の秋元近史は『しゃぼん玉ホリデー』を手がけたテレビディレクター・プロデューサーである。
俳句歴
不死男が本格的に俳句を始めたのは、1930年に島田青峰に師事して「土上」に投句を始めてからである。1930年7月には「土上」にABCの筆名で「プロレタリア俳句の理解」を発表し、『読売新聞』文芸部長の千葉亀雄により評価された。その後実作と評論の両面で活躍し、「土上」を代表する俳人に成長した。
1934年には西東三鬼らとともに新興俳句運動に加わり、戦火想望俳句を作った。しかし1941年の新興俳句弾圧事件により投獄され、2年間獄中にあった。この投獄経験は俳人としての大きな転機となった。戦後、獄中で紙石盤に書き付けておいた若干の句を含めて獄中吟の連作として発表した。当時獄中吟をまとめた俳人は不死男のみで、俳壇に大きな感銘を与えた。
戦後は1954年に『俳句』誌に発表した「俳句と『もの説』」において、スローガン的な社会性俳句に疑問を投げかけつつ、俳句という形式は「事」ではなく「もの」に執着しなければ崩れてしまうと論じ、「俳句もの説」として注目を集めた。1968年には句集『万座』で第2回蛇笏賞を受賞している。晩年は飄逸味のあるのびやかな境涯詠を詠んだ。
その他の特記事項
不死男の作風は、善人性と庶民的ヒューマニズムが基調をなしている。その根底には、貧しい一家を支える母を助けながら多感な少年期を過ごした経験がある。山本健吉は不死男の句について、困苦に耐えてもちっともねじけなかった暖かい庶民的な感情が流れていると評している。
代表句としては「子を殴ちしながき一瞬天の蝉」「鳥わたるこきこきこきと罐切れば」「へろへろとワンタンすするクリスマス」「三月やモナリザを売る石畳」「終戦日妻子入れむと風呂洗ふ」「獄を出て触れし枯木と聖き妻」などがある。これらの句は日常生活に根ざした境涯俳句として、庶民の暮らしと感情を温かく詠んでいる。
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- もっぽきや でるたにかよう おおがらす
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木歩忌
もっぽき
季節: 秋(初秋) 分類: 宗教(忌日) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.407
- へちまきの こうちゃにきゆる かくざとう
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子規忌
しきき
季節: 秋(仲秋) 分類: 宗教(忌日) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.118
- うまこえて れーるはしらす ひのひかり
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馬肥ゆる
うまこゆる
季節: 秋(三秋) 分類: 動物(哺乳類) -
平井照敏編 新歳時記 秋p.194
- ひだるまの さんまをつまが くわせけり
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秋刀魚
さんま
季節: 秋(晩秋) 分類: 動物(魚類) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.135
- ねんりんの うずにさまよう あきのはち
-
秋の蜂
あきのはち
季節: 秋(三秋) 分類: 動物(昆虫等) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.137
- てんにおう おちぎんなんを ふたつふみ
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銀杏
ぎんなん
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(イチョウ目) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 秋p.153
- でんちゅうの でんきのそばで かきじゅくす
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熟柿
じゅくし
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(ツツジ目) -
平凡社 俳句歳時記 秋p.469
- てのひらに ときはすぎゆく とうがらし
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唐辛子
とうがらし
季節: 秋(三秋) 分類: 植物(ナス目) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.671
- あかまんま あきちにすてて あるまくら
-
赤のまんま
あかのまんま
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(ナデシコ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 秋p.153
- どくぼうに りんごとねたる たんじょうび
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林檎
りんご
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(バラ目) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.428
- つまのてに このみのいのち あたたまる
-
木の実
このみ
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(総称) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.168
- しゃくすんに たつこをつつむ ふゆのくれ
-
冬の夕
ふゆのゆう
季節: 冬(三冬) 分類: 時候(時間) -
平凡社 俳句歳時記 冬p.16
- はつしもや おのをうちこむ きのねっこ
-
初霜
はつしも
季節: 冬(初冬) 分類: 天文(水) -
平井照敏編 新歳時記 冬p.58
- りふといちろ ちゅうづりばばに じゅひょううく
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樹氷
じゅひょう
季節: 冬(晩冬) 分類: 地理(山野) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 冬p.327
- らいたーの ひのぽぽぽぽと たきかるる
-
水涸る
みずかる
季節: 冬(三冬) 分類: 地理(水辺) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.557
- きをひいて おとあおあおと ふゆのかわ
-
冬の川
ふゆのかわ
季節: 冬(三冬) 分類: 地理(水辺) -
平井照敏編 新歳時記 冬p.81
- れんたんの ひぐちへたねを つきおとす
-
練炭
れんたん
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
平凡社 俳句歳時記 冬p.146
- あくひょうや たれてふゆぎの まえひらき
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冬服
ふゆふく
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(衣服) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 冬p.166
- やみじるや はさみてはなの ごときもの
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闇汁
やみじる
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(飲食) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 冬p.81
- へろへろと わんたんすする くりすます
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クリスマス
くりすます
季節: 冬(仲冬) 分類: 宗教(キリスト教) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.561
- はきょうきの かぜのおちこむ かんだがわ
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波郷忌
はきょうき
季節: 冬(初冬) 分類: 宗教(忌日) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.160
- ごくをでて ふゆばらにじす ちのあかるさ
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冬薔薇
ふゆばら
季節: 冬(三冬) 分類: 植物(バラ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 冬p.90
- ひとつかれ かくておおくの はすかるる
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枯蓮
かれはす
季節: 冬(三冬) 分類: 植物(ヤマモガシ目) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.502
- はこねじの きゅうどうしらず かれむぐら
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枯葎
かれむぐら
季節: 冬(三冬) 分類: 植物(総称) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.218
- ふゆもえや ごしゃくのみぞは もうとべぬ
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冬萌
ふゆもえ
季節: 冬(晩冬) 分類: 植物(総称) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.505
- みちにはずむ せいじんのひの かみこっぷ
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成人の日
せいじんのひ
季節: 新年(新年) 分類: 人事(行事) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 新年p.69