上村占魚 (うえむら せんぎょ)
俳人の説明
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生涯
上村占魚は1920年(大正9年)9月5日、熊本県人吉市に生まれた。本名は武喜である。14歳のとき母を亡くしており、この母を亡くした経験は生涯にわたって占魚の心に深い影響を与えることとなった。中学時代に俳句を始め、同郷の画家片岡思拙が開いた人吉の於鹿倉細工研究所で薫陶を受け、芸術を志す契機を得た。片岡思拙は東京美術学校で梅原龍三郎と同期であり、二科展にも入賞した逸材であったが、家業を継ぐために帰郷していた人物である。
その後、占魚は東京芸術大学の前身である東京美術学校に入学し、漆芸を学んだ。卒業後は群馬県立富岡高等女学校の図画教師となったが、校長と方針が合わずに1年で退職している。1949年(昭和24年)には自身が主宰をつとめる俳誌「みそさざい」を創刊した。
占魚は旅と酒をこよなく愛し、歌人吉野秀雄とのつきあいをはじめ、吉野の師である会津八一、斎藤茂吉、小島政二郎、川端康成、大佛次郎、草野心平、宮柊二、中川一政らそうそうたる顔ぶれの文化人と幅広く交流を深めた。静枝夫人との媒酌人は亀井勝一郎であった。松本たかしは占魚について、「凡そ利害観念に乏しく、無計算なこと、余所目にもはらはらするくらいである」と評しながらも、「人情には甚だ篤く、案外礼儀正しいところがある」とその人柄を語っている。温順しい人間である半面、極く稀に怒ることもあり、家庭では一種の暴君であったとも記されている。こうした二面性が占魚の特質であり、魅力の源泉でもあったとされる。1996年(平成8年)2月29日、76歳で没した。
俳句歴
東京美術学校で漆芸を学びつつ、占魚は『ホトトギス』へ投句を始め、高浜虚子や松本たかしに師事した。俳号「占魚」は球磨川の「鮎」の字を二つに分けたもので、後藤是山の命名による。生涯を通じてふるさと人吉・球磨への想いは根強いものがあり、占魚の俳句世界の原風景となった。
1949年に俳誌「みそさざい」を創刊し主宰をつとめた。1959年(昭和34年)に高浜虚子が亡くなると『ホトトギス』を離脱している。占魚の作風は、高浜虚子以来の「徹底写生 創意工夫」を貫くものであった。後藤是山、松本たかし、高濱虚子らを師と仰ぎ、写生の道を学び続けた。
酒とともに旅は占魚文学に欠かせないものであった。旅に出たくても金がないときはトランクを下げて近所を一回りしたこともあったという。俳句だけでなく随筆や書、作陶など他の芸術文化にも優れた才能を発揮した。14歳で母を亡くした経験から、「母恋い」は占魚俳句のキーワードとされる。高浜虚子や吉野秀雄、亀井勝一郎らに高く評価されたが、活動の舞台が主に東京、群馬であったことから、熊本ではあまり知られていない存在であった。
その他の特記事項
占魚は多数の句集を世に出しており、『鮎』(1946年)を皮切りに、『霧積』(1955年)、『一火』(1962年)、『天上の宴』(1980年)、『かのえさる』(1984年)、『山旅抄』(1985年)、『海旅抄』(1986年)、『黒髪抄』(1988年)、『自問』(1989年)、『飲食抄』(1990年)、『放眼』(1994年)、『玄妙』(1997年)など多数の句集を発表した。1991年には『上村占魚全句集』が刊行されている。
また、俳句鑑賞や評論の分野でも活躍し、『会津八一俳句私解』(1983年)、『高野素十俳句私解』(1986年)、『松本たかし俳句私解』(2002年)などの著作を残した。随筆も多く執筆しており、『枯木に習う』(1980年)、『遊びをせんとや』(1991年)、『瓢箪から駒』(2010年)などがある。編著としては『吟行歳時記』(1978年)、『松本たかしの世界』(1989年)などがある。
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バイオ
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- きゅうしょうや たくわえしねぎ なやにあり
-
旧正月
きゅうしょうがつ
季節: 春(初春) 分類: 時候(暦) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.38
- たねひたす ありけるわざを いまになお
-
種浸し
たねひたし
季節: 春(晩春) 分類: 人事(労働) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.329
- このめあえ このころあさの しょくすすむ
-
木の芽和
きのめあえ
季節: 春(仲春) 分類: 人事(飲食) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.183
- いつもおもう いんしょうはめよ やすなりき
-
康成忌
やすなりき
季節: 春(晩春) 分類: 宗教(忌日) -
新版 角川俳句大歳時記 春p.408
- よねやまの はずれにうみや とりかえる
-
鳥帰る
とりかえる
季節: 春(仲春) 分類: 動物(鳥類) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.173
- なまさざえ かめばしおさい むねになる
-
栄螺
さざえ
季節: 春(三春) 分類: 動物(貝類) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.93
- さざなみの くるたびきゆる あしのつの
-
蘆の角
あしのつの
季節: 春(仲春) 分類: 植物(イネ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.213
- ひげににて おどけほそばの くろっかす
-
クロッカス
くろっかす
季節: 春(初春) 分類: 植物(キジカクシ目 ) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.145
- きずいせん あめにしないて むきむきに
-
黄水仙
きずいせん
季節: 春(仲春) 分類: 植物(キジカクシ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.203
- のびるほる こよいのさけを たのしみて
-
野蒜
のびる
季節: 春(仲春) 分類: 植物(キジカクシ目) -
平井照敏編 新歳時記 春p.376
- にらめぶく ちゃわんのかけら ひかりゐて
-
韮
にら
季節: 春(仲春) 分類: 植物(キジカクシ目) -
平井照敏編 新歳時記 春p.350
- ほんまるに たてばにのまる はなのなか
-
花
はな
季節: 春(晩春) 分類: 植物(バラ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.155
- ひとはちの へりおとろーぷ あいしかぐ
-
ヘリオトロープ
へりおとろーぷ
季節: 春(晩春) 分類: 植物(ムラサキ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.310
- なつしおの こだまがこだま うむみさき
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夏の潮
なつのしお
季節: 夏(三夏) 分類: 地理(水辺) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.56
- さみしさの ひるねのうでの おきどころ
-
昼寝
ひるね
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.118
- はしさきに まめめしのまめ たわむるる
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豆飯
まめめし
季節: 夏(初夏) 分類: 人事(飲食) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.180
- たかしきの てらよりみゆる じょうがしま
-
たかし忌
たかしき
季節: 夏(初夏) 分類: 宗教(忌日) -
新版 角川俳句大歳時記 夏p.433
- かっぱきに たばたのさけを すすりけり
-
河童忌
かっぱき
季節: 夏(晩夏) 分類: 宗教(忌日) -
平凡社 俳句歳時記 夏p.404
- つきのいろ してあゆのふの ひとところ
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鮎
あゆ
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(魚類) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.162
- わがよなが つまのよながの ひひとつ
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夜長
よなが
季節: 秋(三秋) 分類: 時候(感覚) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 秋p.25
- かわにでて ふねありのりて あきおしむ
-
秋惜む
あきおしむ
季節: 秋(晩秋) 分類: 時候(感覚) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.32
- ともしすと けいじしてあり きゅうかあけ
-
休暇明
きゅうかあけ
季節: 秋(初秋) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.62
- なやのもの とりだしてあり ふゆじたく
-
冬支度
ふゆじたく
季節: 秋(晩秋) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.73
- ひとのかお みつつたべいる やしょくかな
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夜食
やしょく
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(飲食) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.235
- きじょうきや ほうぼくおしみ なくおろす
-
鬼城忌
きじょうき
季節: 秋(仲秋) 分類: 宗教(忌日) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.117
- うちはれて はぜのはちろう がたとなる
-
鯊
はぜ
季節: 秋(三秋) 分類: 動物(魚類) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.134
- ひとすみし なごりのぐみの しまにうれ
-
茱萸
ぐみ
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(バラ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.176
- しらはぎの つめたくゆうひ こぼしけり
-
萩
はぎ
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(マメ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.207
- さいはての まちのばそりに すずもなし
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雪車
そり
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.113
- としもるや がっしょうしかと かんぜおん
-
年守る
としまもる
季節: 冬(仲冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 冬p.62
- たばこやめ よとかきそえて かんみまい
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寒見舞
かんみまい
季節: 冬(晩冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.70
- げいにみを たててけいこや かんざらい
-
寒復習
かんざらい
季節: 冬(晩冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.69
- ぶりあみに おおきななみの たちあがり
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鰤網
ぶりあみ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.182
- かくまきを とめたるえりの ぎんのちょう
-
角巻
かくまき
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(衣服) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.75
- いっさきや われもははなく そだちたる
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一茶忌
いっさき
季節: 冬(晩冬) 分類: 宗教(忌日) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.550
- ひをすくい つつほおのはの おちきたる
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朴落葉
ほおおちば
季節: 冬(初冬) 分類: 植物(モクレン目) -
平井照敏編 新歳時記 冬p.374
- かまくらの こぼれびみちに ふみかがむ
-
かまくら
かまくら
季節: 新年(新年) 分類: 人事(生活) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.603
- かきぞめや たびとがよめる さけのうた
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書初
かきぞめ
季節: 新年(新年) 分類: 人事(芸術) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.633
- べにすこし はつてんじんと いいてこく
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初天神
はつてんじん
季節: 新年(新年) 分類: 宗教(神道) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.649