古賀まり子 (こが まりこ)
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生涯
古賀まり子(こが まりこ)は大正13年(1924年)4月9日、神奈川県横浜市に生まれた。帝国女子医薬学専門学校(現在の東邦大学薬学部)在学中に結核を発病し中退した。戦時中ということもあって本格的な治療を受けなかったが、療養生活の中で俳句を始めた。
昭和20年(1945年)、水原秋桜子に師事し『馬酔木』に入会した。昭和24年(1949年)11月、国立療養所清瀬病院に入院した。病状は極めて重篤で3回に及ぶ開腹手術を受け、脳膜炎によるめまいなどにも襲われた。6年半に及ぶ死と隣り合わせの入院生活であったが、「生きた証に」と句作への情熱は衰えなかった。院内で『馬酔木』同人の山田文男とその俳句仲間に出会い、山田や中山良章らのサポートを受けながら投句を続けた。めまいがひどく暗室で目を閉じて過ごす間も、仲間が代わりに投句してくれるリレー投句によって作句を継続した。入院中にキリスト教の洗礼を受けた。
昭和27年(1952年)、馬酔木新人賞を受賞した。昭和29年(1954年)に『馬酔木』同人となり、昭和31年(1956年)に清瀬病院を退院した。30代に入ってより病状が回復し、医療活動に従事した。昭和42年(1967年)に馬酔木賞を受賞し、この年より生花や書道の教授として自立した。昭和56年(1981年)、句集『竪琴』により第21回俳人協会賞を受賞した。昭和59年(1984年)、堀口星眠の『橡』創刊同人となった。俳人協会名誉会員、日本文藝家協会会員を務めた。平成26年(2014年)2月14日、肺炎のため横浜市の病院で死去した。89歳没。
俳句歴
古賀まり子は若い頃から死と隣り合わせの療養生活を送ったこと、またキリスト教の信仰などから、命の尊さを見つめる句を多く作った。作風は穏やかで美しい水彩画を思わせるものである。代表句に「紅梅や病臥に果つる二十代」「今生の汗が消えゆくお母さん」「主に祈る花菜あかるき中に臥し」などがある。
「紅梅や病臥に果つる二十代」は昭和28年の作で、数え年30歳になるこの年の1月に20代を振り返って詠んだ句である。藤田湘子が「古賀まり子が死んだら、紅梅忌にしよう」と言ったことが伝えられている。「今生の汗が消えゆくお母さん」は母への深い思いを詠んだ句である。清瀬病院での療養生活を詠んだ句には、「罌粟さくや生命つくして酸素吸ふ」「花菜摘む病棟と病棟つなぐべく」「肺とりし胸に触れつつさくら散る」「春愁やひたすら生きて三十路なる」などがある。
第一句集『洗禮』は昭和39年(1964年)に麻布書房から刊行され、「清瀬」と「運河のほとり」から成る。「清瀬」には主に清瀬病院入院中の句が収められ、「運河のほとり」には退院後、横浜の小さな診療所で働き始めてからの作品が収められている。発行部数が少なく評判が高いのになかなか手に入らないため「幻の名句集」として知られ、昭和60年(1985年)に還暦の翌年に揺籃社から待望の復刻版が出された。
句集に『洗禮』『降誕祭』『緑の野』『竪琴』『野紺菊』『名残雪』『暁雲』『源流』などがある。橡功労賞、国際芸術文化賞を受けた。
その他の特記事項
古賀まり子の清瀬病院での療養生活は、同時期に同じ病院に入院していた作家吉行淳之介との興味深い符合がある。吉行淳之介も1924年生まれで、誕生日は古賀より4日遅い4月13日である。吉行は昭和28年(1953年)11月に清瀬病院に入院し、翌年に肺の一部を切除する手術を受け、入院中の昭和29年(1954年)7月に小説「驟雨」で芥川賞を受賞した。古賀が入院したのは吉行の4年前の昭和24年(1949年)11月である。2人の接触や交流は確認されていないが、同じ病院で同じ時期に療養生活を送ったことは結核療養史、文学史上の一つのエピソードとして興味深い。
古賀も吉行も抗結核薬ストレプトマイシンや治療法の進歩の恩恵を受けて全快を果たし、社会復帰して文学者としての名声も得た。古賀はその後89歳の長寿を全うした。
清瀬病院での療養生活は、山田文男や中山良章らの俳句仲間のサポートに支えられていた。花壇をへだてた向かいの病棟にいた仲間が、めまいで暗室に閉じこもる古賀の代わりに投句を続けるリレー投句を行い、昭和27年の馬酔木賞受賞は「チームまり子」に贈られた賞とも言える。古賀は清瀬病院での日々を「林の中の木造の朽ちかけた療養所。病棟と病棟をつなぐのは菜の花の黄色。私にとって生涯、忘れられない懐かしい景色」と振り返っている。
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- せいめいの あめにひかれる るりがわら
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清明
せいめい
季節: 春(晩春) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.26
- ゔぁいおりんひき しょくたくにくる しゃにくさい
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謝肉祭
しゃにくさい
季節: 春(初春) 分類: 宗教(キリスト教) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 春p.105
- せいぼさい ちかきはりふく まりあえん
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御告祭
おつげさい
季節: 春(仲春) 分類: 宗教(キリスト教) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.112
- じゅなんせつ きょうのゆうばえ せんれつに
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受難節
じゅなんせつ
季節: 春(晩春) 分類: 宗教(キリスト教) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.113
- ゆうづきは ははのぬくもり はなだいこ
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大根の花
だいこんのはな
季節: 春(晩春) 分類: 植物(アブラナ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.189
- しゅんぎくの かやいえてゆく あさすがし
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春菊
しゅんぎく
季節: 春(初春) 分類: 植物(キク目) -
新版 角川俳句大歳時記 春p.647
- きんぽうげ まだかぜあらき ぎょうじゃどう
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金鳳花
きんぽうげ
季節: 春(晩春) 分類: 植物(キンポウゲ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.208
- さんしょのめ ははににものの きせつくる
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山椒の芽
さんしょうのめ
季節: 春(仲春) 分類: 植物(ムクロジ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.171
- とさみずき あおぎてほしの いきとあう
-
蝋瓣花
とさみずき
季節: 春(仲春) 分類: 植物(ユキノシタ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.160
- かんじゃみな ゆえなくすさび たいしょかな
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大暑
たいしょ
季節: 夏(晩夏) 分類: 時候(暦) -
平凡社 俳句歳時記 夏p.41
- ちくりんの やみのあおさも せいわかな
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清和
せいわ
季節: 夏(初夏) 分類: 時候(感覚) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.23
- こんじょうの あせがきえゆく おかあさん
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汗
あせ
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(生活) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.279
- みちのくは くもわきやすし のままつり
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野馬追
のまおい
季節: 夏(晩夏) 分類: 宗教(神道) -
新版 角川俳句大歳時記 夏p.407
- しょうじょきて こいぬをはなつ るこうそう
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縷紅草
るこうそう
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(ナス目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.231
- とおきひの うえおもいをり くさいきれ
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草いきれ
くさいきれ
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(総称) -
新版 角川俳句大歳時記 夏p.764
- すがたみに いちじゅうつりて はくろかな
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白露
はくろ
季節: 秋(仲秋) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.22
- そうこうや はおとのこして すずめさる
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霜降
そうこう
季節: 秋(晩秋) 分類: 時候(暦) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.71
- いまさらと おもえどほしき きくまくら
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菊枕
きくまくら
季節: 秋(晩秋) 分類: 人事(生活) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.221
- ふところに ゆうかぜいれて ごぼうひく
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牛蒡引く
ごぼうひく
季節: 秋(三秋) 分類: 人事(労働) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.83
- ゆらゆらと ははのよわいや しんどうふ
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新豆腐
しんどうふ
季節: 秋(初秋) 分類: 人事(飲食) -
新版 角川俳句大歳時記 秋p.250
- ふだらくの うみきらきらと あきへんろ
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秋遍路
あきへんろ
季節: 秋(三秋) 分類: 宗教(仏教) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.106
- ゆうひすこし かわぞこにあり あきごむら
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秋蚕
あきご
季節: 秋(仲秋) 分類: 動物(昆虫等) -
平井照敏編 新歳時記 秋p.246
- じゅずだまや ちいさくかわく ははのもの
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数珠玉
じゅずだま
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(イネ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.209
- きりいつか あまおととなる しんちぢり
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新松子
しんちぢり
季節: 秋(晩秋) 分類: 植物(マツ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 秋p.166
- だいかんの たけのこえきく ゆうべなり
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大寒
だいかん
季節: 冬(晩冬) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.27
- たんじつや ほとけのははに るすたのみ
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短日
たんじつ
季節: 冬(三冬) 分類: 時候(感覚) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.29
- さんのとり ははのぬいいと かいにでて
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酉の市
とりのいち
季節: 冬(初冬) 分類: 人事(行事) -
新版 角川俳句大歳時記 冬p.461
- さくらずみ めいじのことば うつくしき
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炭
すみ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 冬p.95
- わがこえの ふとははににて おにやらい
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追儺
ついな
季節: 冬(晩冬) 分類: 宗教(神道) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.601
- いしぶたい めぐるみっかの あぜにおう
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三日
みっか
季節: 新年(新年) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 新年p.12
- しぼうかるて きじょうにさむき じむはじめ
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仕事始
しごとはじめ
季節: 新年(新年) 分類: 人事(労働) -
平凡社 俳句歳時記 新年p.131