三橋鷹女 (みつはし たかじょ)
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生涯
三橋鷹女(みつはし たかじょ)は、明治32年(1899年)12月24日、千葉県成田町(現在の成田市)に生まれた。本名はたか子、幼名は文子。父・三橋重郎兵衛は成田山新勝寺の重役として六大事業の達成に参画するとともに、成田町の助役として30年間勤務して町の発展に尽力した人物である。
三橋家は江戸時代後期の歌人・神山魚貫と姻戚関係にあり、代々和歌を嗜んでいた。曽祖父の鶴彦、祖父の貫雄、父の文彦もいずれも和歌を嗜み、鷹女は色紙や短冊や扇面などが貼り並べられた屏風を眺めながら育った。
大正5年(1916年)、成田高等女学校を卒業後、上京して次兄・慶次郎の元に寄寓した。慶次郎が若山牧水、与謝野晶子に師事する歌人であったため、鷹女も作歌を始めた。大正11年(1922年)、俳号・剣三を持つ俳人であった歯科医師・東謙三と結婚し、俳句の手ほどきを受けた。大正12年(1923年)に長男・陽一が誕生したが、同年9月1日の関東大震災により病院・住宅などが崩壊。鷹女は生後8ヶ月の陽一を抱いたまま倒壊家屋の下敷きとなったが、5時間後に奇跡的に救出された。この運命的な体験は、生涯にわたる母子の深い愛の絆をもたらすこととなった。
昭和17年(1942年)、長兄の病死により、東家を廃し三橋家を継いだ。以後、三橋姓となった。昭和19年(1944年)、長男・陽一が中支派遣軍部隊付主計将校として出征。出征以来音信不通であったが、昭和21年(1946年)2月に無事帰還した。
昭和47年(1972年)4月7日に死去した。享年72。戒名は善福院佳詠鷹大姉。
俳句歴
鷹女は大正15年(1926年)頃から俳句を作り始め、当初は「東文恵」の俳号を用いた。昭和4年(1929年)、夫とともに原石鼎の「鹿火屋」に入会し、原に師事した。「鹿火屋」の中で夫婦の競詠は評判となった。石鼎の個性主義の指導のもと、鷹女の才能は開花していった。
昭和8年(1933年)、『鶏頭陣』7月号で俳号を「東鷹女」に改めた。昭和9年(1934年)、夫とともに「鹿火屋」を退会し、小野蕪子の「鶏頭陣」に入会した。昭和11年(1936年)、同人誌「紺」の創刊に参加し、女流俳句欄の選者を担当した。「紺」は新興俳句の外周に位置する俳誌で、自由な雰囲気があり、鷹女が強い愛着を示した俳誌であった。
昭和10年(1935年)以後、口語文体を駆使した奔放な直情表現、鋭敏な感覚と斬新な想像力による俳句を発表し、才気煥発な才能が一気に開花した。この時期に確立した独自の新風作品は、第1句集『向日葵』(1940年)と第2句集『魚の鰭』(1941年)に収められた。昭和28年(1953年)、山本健吉により中村汀女・星野立子・橋本多佳子とともに「四T」と呼ばれた。四T内でも表現の激しさと前衛性において突出した存在であった。
「紺」終刊後、第3句集『白骨』を上梓した昭和27年(1952年)までの十数年間は、いかなる結社や同人誌にも所属せず、独立不羈の句作を貫いた。昭和28年(1953年)、高柳重信の誘いを受けて富沢赤黄男の「薔薇」に参加し、昭和33年(1958年)には同誌の後継誌「俳句評論」に参加した。昭和44年(1969年)、湊陽一郎と同人誌「羊歯」を創刊したが、同年10号で辞し、「俳句評論」顧問となった。
その句風は、写生の方法に拠らず、自在な口語表現・新興俳句の詩的表現などを駆使して女性の情念を詠む前衛的なもので、当時の女性俳人の中でも異色の存在として知られた。晩年は老いや死の意識、孤独を凝縮した凄絶な世界へと深まっていった。
その他の特記事項
句集に『向日葵』(1940年)、『魚の鰭』(1941年)、『白骨』(1952年)、『羊歯地獄』(1961年)、『橅』(1970年)があり、没後に『三橋鷹女全句集』『三橋鷹女全集』も刊行されている。
成田市には三橋鷹女の像が建立されている。
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参考にさせていただいたWebサイトの制作者様、誠にありがとうございます。貴サイトの貴重な情報により本データベースの充実を図ることができました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
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- はるのいゆめ みていてまぶた ぬれにけり
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春の夢
はるのゆめ
季節: 春(三春) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.89
- しゅうせんは こぐべしあいは うばうべし
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鞦韆
しゅうせん
季節: 春(三春) 分類: 人事(娯楽) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 春p.86
- でんがくに ようてさびしき おとこかな
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田楽
でんがく
季節: 春(仲春) 分類: 人事(飲食) -
新版 角川俳句大歳時記 春p.203
- みんなゆめ ゆきわりそうが さいたのね
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州浜草
すはまそう
季節: 春(初春) 分類: 植物(キンポウゲ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.144
- おうばいに たちてはたのむ あすのひを
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黄梅
おうばい
季節: 春(初春) 分類: 植物(バラ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 春p.139
- うづききぬ ましろきかみに かくことば
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卯月
うづき
季節: 夏(初夏) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.22
- えんてんに つながれきんの うしとなる
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炎天
えんてん
季節: 夏(晩夏) 分類: 天文(天空) -
平井照敏編 新歳時記 夏p.51
- ひとづまは かみにさんごや こうじゃくふう
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黄雀風
こうじゃくふう
季節: 夏(仲夏) 分類: 天文(風) -
平凡社 俳句歳時記 夏p.67
- きえてゆく もののしずけさ ゆうにじも
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虹
にじ
季節: 夏(三夏) 分類: 天文(光) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.48
- ははにふる なつてぶくろの しろきてを
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夏手袋
なつてぶくろ
季節: 夏(三夏) 分類: 人事(衣服) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.160
- あおぎりの はやゆうやけを かくしえず
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青桐
あおぎり
季節: 夏(三夏) 分類: 植物(アオイ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.46
- せんまんねん ごのこいびとへ だりあきる
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ダリヤ
だりや
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(キク目) -
新版 角川俳句大歳時記 夏p.692
- ひまわりを きってすつるに はものとぐ
-
向日葵
ひまわり
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(キク目) -
新版 角川俳句大歳時記 夏p.693
- つれなさの せつなさのあお とうがらし
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青唐辛子
あおとうがらし
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(ナス目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.397
- おうとうの みのれるくにを まだしらず
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さくらんぼ
さくらんぼ
季節: 夏(仲夏) 分類: 植物(バラ目) -
文藝春秋 最新俳句歳時記 夏p.307
- ねむりぐさ ねむらせていて やるせなし
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含羞草
おじぎそう
季節: 夏(晩夏) 分類: 植物(マメ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 夏p.230
- わだつみの くらきわらいや はづきじお
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初潮
はつしお
季節: 秋(仲秋) 分類: 地理(水辺) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 秋p.55
- ふじばかま しろしたそがれ のをいずる
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藤袴
ふじばかま
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(キク目) -
平井照敏編 新歳時記 秋p.371
- おいしとおもう おいじとおもう ひのかんな
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カンナ
かんな
季節: 秋(初秋) 分類: 植物(ショウガ目) -
平井照敏編 新歳時記 秋p.306
- もゆるまが いのちおんなと とうがらし
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唐辛子
とうがらし
季節: 秋(三秋) 分類: 植物(ナス目) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.404
- しんちゅうに ひのたまをだき かじかめり
-
悴む
かじかむ
季節: 冬(晩冬) 分類: 時候(感覚) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.576
- みずかれて ひとはいのりの あかつきを
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水涸る
みずかる
季節: 冬(三冬) 分類: 地理(水辺) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.556
- けしずみを ゆうべまっかな ひにもどす
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消炭
けしずみ
季節: 冬(三冬) 分類: 人事(生活) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.104
- ふゆもずが こいしやのどに しっぷして
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冬の鵙
ふゆのもず
季節: 冬(三冬) 分類: 動物(鳥類) -
平井照敏編 新歳時記 冬p.326
- つたかれて いっしんがんじ がらめなる
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枯蔦
かれつた
季節: 冬(三冬) 分類: 植物(ブドウ目) -
角川ソフィア文庫 第5版増補 俳句歳時記 冬p.205