上島鬼貫 (うえしま おにつら)
俳人の説明
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生涯
上島鬼貫(うえじま おにつら)は、万治4年4月4日(1661年5月2日)、摂津国川辺郡伊丹郷(現在の兵庫県伊丹市)で有数の酒造業者・上島宗次(屋号・油谷、酒は三文字)の三男として生まれた。幼名は竹松である。長兄が早世したため、実質的には次男として育った。
鬼貫の生涯は三期に分けられる。青年期は貞享元年(1684年)24歳までで、伊丹の若者たちと俳諧に熱中した。8歳の頃から俳句を作り始め、13歳で松江重頼(維舟)に入門し、その後西山宗因の談林派にも入門した。18歳の時には『当流籠抜』を刊行するなど、若くして俳諧活動を展開した。
中年期は貞享2年から享保2年(1717年)までの25歳から57歳にあたり、伊丹を離れて武士として生きようとした。25歳で大阪に出て仕官を求め、筑後国三池藩(27歳から29歳)に30人扶持で召し抱えられ、次に大和国郡山藩(31歳から35歳)に仕え、最後は越前国大野藩(48歳から58歳)で勘定職や京都留守居役を担当した。武士として出仕していた時代は藤原宗邇(ふじわら むねちか)と名乗った。
晩年期は享保3年から78歳で亡くなる元文3年(1738年)までである。享保3年(1718年)に58歳で俳句観をまとめた『獨言(ひとりごと)』を刊行し、武士の道を捨てて市井の俳人として大阪に移り住んだ。元文3年(1738年)8月2日、大坂鰻谷にて死去した。享年78歳。墓所は大阪市天王寺区の鳳林寺と伊丹市の墨染寺である。
俳句歴
鬼貫は幼少の頃より俳諧に馴染み、13歳で松江維舟に入門した。12歳の時には「一声も七文字はあり郭公」の句で維舟から長点(最高評価)を受けたという。延宝2年(1674年)、維舟が池田宗旦らを引き連れて伊丹を訪れ、宗旦はそのまま伊丹に住みつき私塾「也雲軒」を開いた。鬼貫はここを溜まり場として俳諧の修行を積み、西山宗因をはじめ多くの俳人たちと交流した。
16歳の時に維舟撰『武蔵野』に四句入集し、これが鬼貫の最初の入集であった。18歳から20歳にかけて、『当流籠抜』『俳道恵能録』『俳諧無分別』などを次々と刊行した。
元禄3年(1690年)、30歳の時に『俳諧大悟物狂』を刊行した。この句集には代表作の多くが含まれており、最も充実した時代の作品である。冒頭に収められた「にょっぽりと秋の空なる不二の山」は江戸に下った際の作で、今日では鬼貫の代表句として知られている。
蕉門の広瀬惟然や八十村路通などとも親交があり、彼らを通じて松尾芭蕉とも親交を持つようになった。作風に芭蕉の影響を少なからず受けたが、終生面会することはなかった。
享保3年(1718年)、58歳で刊行した『獨言』の中で「まことの外に俳諧なし」と述べるに至った。これは目の前の当たり前のことを当たり前に詠むという、平常心の境地を示したものである。この俳諧観により、「東の芭蕉・西の鬼貫」と称されるようになった。
晩年は『仏兄七久留万』(享保12年、67歳)、『仏兄七久留万拾遺』(享保17年、72歳)、『続七車』(元文2年)などを刊行した。辞世の句は「夢返せ烏の覚ます霧の月」である。
その他の特記事項
鬼貫の俳号は、紀貫之に対抗する意味を持つ。貞門俳諧を興した松永貞徳が和歌の権威である紀貫之の流れを汲むのに対し、鬼貫は正統から逸脱した「鬼の貫之」として、貞徳や紀貫之に挑戦する姿勢を示したものである。
字は治房、通称を輿三兵衛、三郎兵衛、惣右衛門、惣兵衛という。点也、仏兄(さとえ)、即翁、槿花翁(きんかおう)、自休庵、馬楽堂、囉々哩(ららり)、犬居士(いぬこじ)などの別号がある。
死後、明和6年(1769年)に炭太祇撰『鬼貫句集』が刊行され、与謝蕪村は宝井其角、服部嵐雪、向井去来、山口素堂に上島鬼貫を加えて「五氏」と呼び、鬼貫の再評価を訴えた。「行水の捨て所なし虫の声」の句は大衆に広く知られ、川柳のネタにもされるほど人口に膾炙していた。
代表句として、「にょっぽりと秋の空なる不二の山」「古城や茨くろなるきりぎりす」「行水の捨て所なき虫の声」「谷水や石も歌詠む山桜」「鳥はまだ口もほどけず初桜」「桃の木へ雀吐き出す鬼瓦」「おもしろさ急には見えぬ薄かな」などが知られる。
河東碧梧桐が忌日の「鬼貫忌」を秋の季語とした。
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