巌谷小波 (いわや さざなみ)
俳人の説明
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生涯
巌谷小波は1870年7月4日、東京府麴町平河町に生まれた。本名は季雄。巌谷家は近江水口藩の藩医の家柄である。父の巌谷一六は水口藩の徴士として新政府に出仕し、詔勅の起草や浄書、公文書の管理を行う書記官僚であるとともに、明治の三筆の一人として認められた書家であった。母の八重は父の2番目の妻で、季雄は父にとって6番目、母には4番目の子である。母は季雄を生んだ年の10月1日に肺炎で死去した。
父は官途で栄達し後に貴族院議員となり、季雄は裕福な家庭に育った。10歳のとき、兄の巌谷立太郎が留学先のドイツから『オットーのメルヘン集』というドイツ語の本を送ってきた。この本はヨーロッパの昔話や童話を多数収めたもので、季雄はこれによって文学に目覚めることとなった。
平河小学校卒業後、獨逸学協会学校へ入学したが、医者への道を歩ませられることを嫌い、周囲の反対の中で文学を志して進学を放棄した。塩谷、青山、川田、杉浦の私塾で学び、1887年、文学結社の硯友社に入った。尾崎紅葉らと交わって、機関誌「我楽多文庫」に小説を発表した。
1891年、博文館の「少年文学叢書」第1編として出版した児童文学の処女作『こがね丸』が、近代日本児童文学史を開く作品となった。1895年、博文館で雑誌「少年世界」が創刊されると、京都日之出新聞の文芸部長を務めていた小波はその主筆となって博文館に入った。その後、1927年まで「幼年世界」「少女世界」「幼年画報」にも主筆として作品を執筆した。
晩年は創作活動の傍ら全国各地を巡って童話の口演を行い、その普及に努めた。1933年9月5日、直腸癌のため芝区大門の日本赤十字病院で死去した。64歳没。辞世は「極楽の乗物や是桐一葉」。墓所は多磨霊園にある。
俳句歴
巌谷小波は児童文学者として知られるが、俳人としても活動した。明治29年から秋声会の俳誌『秋の声』に毎号俳句や俳文を寄稿し、明治32年に『俳諧論集』の編集者となって『俳諧文庫』を出版した。明治34年には白人会というベルリン在住日本人俳句同好会を結成し、大正2年には俳句雑誌『南柯』の顧問となって毎号に俳句を発表した。
『俳諧叢書』の編集にも携わり、『僕の旅』『俳通俳句便覧』『山から海・俳味紀行』『俳文学大系』全12巻、『俳句表現辞典』、句集『ささら波』などの俳句関連著書を残した。北海道から沖縄まで日本列島の全域にわたって、把握されただけで43基の句碑が残っている。
小波は自ら開拓したお伽噺の世界を俳画の世界に融合させ、「お伽俳画」という独創的な世界を創り上げた。桃太郎、舌切雀、花咲爺、かちかち山、浦島太郎、一寸法師、猿蟹合戦、金太郎などのお伽噺を題材とした俳画を多数制作した。
また、明治29年から「木曜会」という文学サロンを主宰した。巌谷門下の作家らが毎週木曜に巌谷の自宅に集まり、各自に創作したものを朗読して互いに批評し研鑽し合った。参加者は久留島武彦、木戸忠太郎、押川春浪、黒田湖山ら20人ほどで、その後永井荷風らも加わり、一時は50数名を数えることもあった。
その他の特記事項
小波の筆名は琵琶湖にちなんで名乗ったものである。「漣山人」という号も用い、いずれも「さざなみ」と読む。これは近江に対する並々ならぬ小波の思い入れを示すものである。
児童文学者としては、『日本昔噺』『日本お伽噺』『世界お伽噺』などの大部のシリーズを刊行し、『桃太郎』『金太郎』『浦島太郎』『こぶとりじいさん』などの民話や英雄譚の多くを再生して幼い読者の手に届けた。明治期に児童文芸作品を表す言葉として「お伽噺」を使用し、日本中に児童文学を広めた。
また、1911年に作った文部省唱歌『ふじの山』の作詞者としても知られ、各地の校歌の作詞も手掛けた。滝廉太郎が『幼稚園唱歌』を作曲編纂するにあたって小波に相談していたことが明治32年の小波日記に記されている。
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バイオ
現在、4句の俳句が登録されています。
- なんごくの つちあかあかと ありのとう
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蟻
あり
季節: 夏(三夏) 分類: 動物(昆虫等) -
平凡社 俳句歳時記 夏p.502
- いしやまの いしのみたかし ふゆのつき
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冬の月
ふゆのつき
季節: 冬(三冬) 分類: 天文(天空) -
平凡社 俳句歳時記 冬p.62
- ろびらきや うじからとどく うじのみず
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炉開
ろびらき
季節: 冬(初冬) 分類: 人事(芸術) -
ハンディ版 入門歳時記 新版p.470
- みっかほど ふじもみえけり まつのうち
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松の内
まつのうち
季節: 新年(新年) 分類: 時候(暦) -
角川ソフィア文庫 第4版増補 俳句歳時記 新年p.18